「ステップ3:フォーミュラリー4.0の活用方法」をお送りしています。
第30号よりフォーミュラリー4.0の独自機能を紹介しています。
今回は高齢者を対象としたコンテンツを紹介します。
「超高齢社会」(高齢化率が21%超)に突入しているわが国では、安全な薬物療法を提供するうえで高齢者のリスク評価は薬剤師にとって避けては通れない分野です。
しかし、いわゆる特殊患者集団(special populations)に関する医薬品情報は総じて乏しく、とりわけ高齢者に関する情報は具体性に欠ける印象があります。
例えば、添付文書やインタビューフォームには「高齢者では生理機能が低下している」とか「低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること」程度の記載しかなく、医師に助言することを想定すると物足りなさは否めません。
そんな時、今回紹介する機能は、薬剤師からのアプローチを一歩でも二歩でも進める助力となれる筈です。
**お時間のない方はこちら(要約動画です)
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老年症候群リスク(リスク管理に関する情報より)
株式会社「データインデックス」から購入したデータベースをもとに作成したコンテンツです。
薬品毎に下記9種類のリスクフラグを紐付けています。
・ふらつきリスク**
・転倒リスク**
・記憶障害リスク**
・せん妄リスク**
・抑うつリスク**
・食欲低下リスク**
・便秘リスク**
・排尿障害リスク**
・尿失禁リスク**
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抗コリン作用リスクスケール(リスク管理に関する情報より)
anticholinergic risk scale(ARS)をもとに作成したコンテンツです。
本スケールでは抗コリン作用をスコア化しています。
・1点(中リスク)
・2点(強リスク)
・3点(最強)
抗コリン薬は高齢者への処方を避けるべき薬の代表格ですが、その作用には強弱があるため、スコア化できれば休薬の優先順位をつけるのが容易になります。
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高齢者において一般に使用を避けることが望ましい薬剤(ポリファーマシーに関する情報より)
「高齢者への薬剤処方第2版」(医学書院)を参考に作成したコンテンツです。
**詳しくはこちら
ポリファーマシーが疑われる場合に減薬候補を絞り込む際に利用できます。
具体的には使用時の重要度を3段階評価しています。
・高
・中
・低
本書には「日本版ビアーズ基準」に基づき、薬品毎に「中止する際の注意点」「使用を避けることが望ましい理由」「代替薬やその使用方法」「やむを得ず使用する際の注意点」が明記されているため、該当薬さえ特定できればそれ以降の対応はとてもスムーズになります。
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今回はここまで。
今回は高齢者に対する医薬品適正使用を想定した3つのコンテンツを紹介しました。
・老年症候群リスク**
・抗コリン作用リスクスケール**
・高齢者において一般に使用を避けることが望ましい薬剤**
これまで「添付文書やインタビューフォームに掲載されていない情報の重要性」や「それを補完する薬剤師の役割」について再三強調してきました。
しかし現実には、添付文書やインタビューフォームに載っていたとしても、膨大な他の情報に埋没してしまい、目的とする情報になかなかたどり着けないという不都合も生じています。
それを円滑化するために「フラグ化」や「データベース化」は極めて有効な手立てなのですが、残念ながら現在のところそこまで思考が及んでいない薬剤師が多数派のようです。
今回のお話が何らかの「気づき」になれば望外の喜びです。